J.フロント建装は、大丸・松坂屋・パルコなどを運営するJ.フロント リテイリングのグループ会社です。

Project Story#1大丸心斎橋店本館

2019年9月にグランドオープンした大丸心斎橋店本館。ウィリアム・メレル・ヴォーリズの名建築として知られた旧本館の外壁を保存・復原し、一階内装部分も可能な限り再利用するという形で、86年ぶりに建替えられた。環境(共用部分)工事と400近い区画のテナント工事に携わった職人は、ピーク時には1日1000人。世界でも類を見ない、3年間に渡るこの大規模プロジェクトを円滑に推進するため、内装工事の司令塔となったのがJ.フロント建装だ。

担当業務

プロジェクトメンバー

作業員1000人規模のメンバーで、同じゴールを目指す

内装監理室のメンバーは、社員・パートナー合わせてピーク時で約40名。リーダー・佐藤が声をかけ、社内外から集めた逸材ばかりだ。プロジェクトの本格稼働からゴールまで、どういったスケジュールで動くことになるか、入念にシミュレーションを重ね、その時々で必要な人員配置や増員を重ねてきた。

その下では、1000人規模の職人・スタッフが働く。雇われている立場も、背負っているものも違うメンバーが、同じ方向を向き、同じゴールに向かうにはどうすればいいか。佐藤がもっとも気をつかった部分だ。

「仕事をお願いするときは、一方的に上から目線にならないように、相手の気持ちを汲むように心がけています。私が伝えるのはゴールだけ。そこに到達するまでの組み立ては各自のセルフコントロールにお任せします。もちろん、適宜チェックはしますが」(佐藤)

こうしたやりとりで築いた信頼関係のもとで、作業はスムーズに進行した。

職種にこだわらず、
役割に最適な人材をアサイン

佐藤が決めた大きな方向性を、より具体的にメンバーに伝えていくのが谷口の役割。顧客である大丸松坂屋百貨店とのやりとりも行った。

「これだけ大きなプロジェクトをまとめていくために必要な人材を考えたとき、谷口以外には思い浮かびませんでした。彼はじつは設計職でデザイン部に所属していましたが、内装監理室ではまったくデザインの仕事はしていません」(佐藤)

ところが、谷口のデザイナーとしての経験は、顧客へのプレゼンや、テナントの担当デザイナーとの打ち合わせで生かされたという。

「設計をやっていた頃も今も、『10言われたら11やろう』という気持ちでやってきました。10言われて10やるのでは、相手は満足しない。見積や設計は一日でも早めに出す。それがお客様のメリットにつながると思っています」(谷口)

積算や収益管理など数字を扱う業務を担った加野は、これまでに営業としてプロジェクトを俯瞰して見る力を培ってきた経験を買われた。

「長期プロジェクトでは、内部がピリピリすることもあります。そんな中でも、自分が淡々と仕事を進めていけば、少しでも円滑に進むのではと考えていました」(加野)

その人柄は、若手社員からの人望も厚い。

「これだけ大きな建替えプロジェクトでは、内装という一部分だけでなく、ゼロから鉄骨を立てて……という建築の一連の流れに立ち会える。このチャンスに、メンバーそれぞれがこれまで経験してきたことをどうはめ込み、生かしてもらうかが、人選の鍵でした」(佐藤)

すべてのお客様のニーズの先を見つける

入社2年目で本プロジェクトに参画した大福にとっては、大きな現場を経験し、仕事を覚える最良のチャンスとなった。

「吸収力、適応力が高い。顧客に対しても下請けにも好印象を与える接し方を意識していて、要領もいい」(谷口)

と、その仕事ぶりを評価される彼女は、若い女性としての感性や発想力も期待される存在。サポートに入った見積業務では、トイレやレストスペース部分の見積を担当した。

「心斎橋店は各フロアにこだわりのあるレストスペースがあり、おすすめです。USB電源がついているのも大きなポイント。デパートのお客様に喜ばれるのではないでしょうか」(大福)

依頼主である1次顧客を喜ばせるのはもちろんだが、その先にいる2次顧客(百貨店の場合は、利用されるお客様)の利便性を考えた提案も欠かせない。「百貨店の改装工事では、本当の意味での顧客は誰なのか?いつも自問自答しています」(佐藤)

大福のような若い感性と、経験値を持ったベテランからなるチームで、様々なことに対応できる総合力がJ.フロント建装の強みだ。

「私たちのチームは、万一のトラブルにも強い。何があっても最後までプロジェクトを真摯にやり遂げるという精神力を培ってきています」(谷口)

進捗チェック・情報セキュリティ管理を徹底

プロジェクトの始動は2016年7月。グランドオープンまでの3年間、内装工事の全体を仕切ったのが、J.フロント建装率いる内装監理室だ。計画、図面設計、見積もり、各テナントとの折衝、工事現場の管理……プロジェクトの進捗とともに2人、3人と増えていった社内メンバーは、最盛期には11名。パートナースタッフを含めて40名規模の大チーム。過去の大型プロジェクトの2倍に増員しての万全態勢で、本プロジェクトは進められた。


リーダー・佐藤の元には、メールだけでも1日に300~400件、ピーク時は500件もの情報がCCで入った。誰が誰にどんな情報を発信しているのか、現状を確実に把握することが重要な仕事。進捗状況を確認するとともに、あってはならないミスやトラブルを起こさないためのリスクヘッジだ。

「メール配信だけでも、フォーマット作りから相手に伝わる件名の書き方、この情報に対してどこまでCCをつけるかといった細かいルールを設定しました」(佐藤)

また、百貨店の仕事は、テナント名も重要な機密情報となる。プロジェクトメンバーは隠語でやりとりするほか、休憩中もプライベートの時間も、テナント名は一切話さない社内ルールを厳格に守る。もちろん、図面は事務所外に持ち出し禁止。外での打ち合わせの際は、決められた鞄を使って管理した。

「百貨店の中には何百件ものテナントがあり、何百通りの利害が渦巻いている。情報セキュリティに厳しい世界です」(佐藤)

ここでの経験が、百貨店以外の案件でも、情報セキュリティに敏感に対応する姿勢に繋がっている。

お互いに認め合える関係性が、チームワークを高める

プロジェクト内では、毎日数時間ごとに何らかの締め切りがあり、情報共有のためのコミュニケーションは不可欠だ。意見を言いにくい環境、風通しの悪い環境では、仕事は円滑に進まない。

「佐藤が総理大臣だとしたら、谷口は官房長官」、「佐藤がお父さんなら、谷口はお母さん」だと、内装監理室のメンバーは口をそろえる。

「佐藤は仕事を推し進める力がすごい。彼が決めた方向性は間違っていません。それを谷口が具体的に指示してくれる。彼らの能力は、私がこの先何年かけても得られない能力だと尊敬しています」(加野)

この二人の司令塔が作り出す空気が、風通しの良い現場環境を作り出した。

「このチームは、ひとつの小さな会社のようでした。仕事をしやすい環境づくりは、いかにしてよい職場風土をつくるかというよりも、そこで働くそれぞれの人が発する空気感でできていると思うのです」(佐藤)

長期に渡る大プロジェクトが円滑に進んだのは、お互いに認め合い、信頼し合えるチームワークがあったからこそ。「このメンバーだからやり遂げられた」と、メンバーの誰もが思っている。

大丸心斎橋店本館

開業してから約300年の歴史を持つ大丸心斎橋店は、“世界と未来にむけて進化する百貨店“として、2019年9月20日(金)にグランドオープン。訪れる人すべてが輝く「物語の舞台」。ここでしか出会うことのできない、驚き。発見。高揚。予感。物語のような毎日を、心斎橋から、世界へ発信することを目指す百貨店です。

Project Story#2

MUJI HOTEL GINZA

Project Story#3

オリエンタルホテル ユニバーサル・シティ

実績紹介一覧